通常国会開会と同時の衆議院議員解散。28日投開票の超短期決戦衆議院議員総選挙が渦中です。

あまりにも数多くの方からの問い合わせが来ましたので取り上げることにしました。今回は問い合わせの内容に合わせた「マクロ視点」でみた回答を心がけて記述していきたいと思います。皆さんの決断の一助となれば幸いです。


政策判断チェック項目シート

1.     なぜこの時期での解散総選挙となったのか?

これについては様々な意見や見解があるかと思います。結論から言えば「いま解散総選挙をすることが、与党を形成する自民党・日本維新の会双方にとって最良の選択」だったからに他なりません。自民党の課題は明白です。地方組織の崩壊状況が加速気味で再組織化の目処も立っていません。つまり、かつてのような地盤で戦える体力はほとんど残っていないのです。これは地方の利権構造を国政に反映できる力が自民党から無くなってきているということでもあります。これが日本人の選挙離れの本質なのです。そんな中での今の高市早苗総理大臣のカリスマ的な人気は僥倖です。大半の票が浮動的な現在、党総裁の人気こそが選挙の勝敗を分けるのです。実際人気の薄かった石破茂前総裁の選挙では敗北続きだったわけで、自民党としてはわざわざ自ら「石破を過剰に不人気に貶めることによって、反石破という立ち位置を演出した高市の爆発的な人気を創り出した」成果が冷めないうちに選挙に持ち込みたかった、というわけです。

ただ、このブログを読んでくださる方ならばすぐにお気づきのことと思いますが、旧態依然とした“売国的”な石破政権に対して“愛国的”な高市政権が誕生したという情報が巷で大量に流されていますが、この考え方は根底から誤っています。というか、そう思い込むように誘導しようという意図が見え見えです。これは資金の流れ(金脈)と下支えする人材の人事配置(人脈)を見れば明白です。石破政権から高市政権になっても何も変わっていないのです。変わっているのは神輿として担がれたトップ層のみで、このトップ層は自民党の政権維持のために、むしろそうした演出の表役者として振る舞うことを義務づけられているに過ぎません。ですから、石破政権から高市政権に変わったから日本全てが一変するなんてことはあり得ません。

また、日本維新の会にとっては悲願の「大阪都構想」の実現があります。今期の国家予算審議が始まる前に実現への道筋を付けておきたい、という思惑があります。正直、日本維新の会、というより、大阪維新の会の大阪府内での地盤は抜群です。しかも自民党地盤と比べても支持層が若く活力があるため、十分に機能している政治組織とも言えます。そんな彼らが望んでいるのは「首都(国家行政)機能の大阪移転」を一部でも実現することです。これは石破茂氏の中心的な政治主張である「首都(国家行政)機能の地方分散」とも一致します。

そして、これが一番重要なのですが、解散総選挙がこの時期になった最大の理由は、高市政権が「管理通貨制度に伴う日本円のマネタリーベースの運用方法」を議論したくなかったからだと、私は見ています。これまでの日本政府は「日本円のマネタリーベースはプライマリーバランス(PB)との兼ね合いで運用」してきました。これは金本位制度時代の運用方法で、現在の管理通貨制度では実情に見合わない運用方法だったわけです。ただ、管理通貨制度下でのマネタリーベースの運用方法を議論するためには「管理通貨制度下における通貨の価値の本質」を理論化する必要がありました。これを世界各国の通貨に跨がって理論化したのが「MMT(現代貨幣理論)」です。この登場以前、各国は仕方なく金本位制度時代のPBを運用基準(中でも日本円はPB均衡方針)として通貨供給をコントロールしてきたのです。ただMMTが登場した現在、この基準は根底から見直されなくてはなりません。そこで石破政権は昨年の予算審議から一貫して「通貨供給の有り様」へと議論を持って行こうと腐心していました。そして、今年の一般予算審議では「管理通貨制度下における日本円のマネタリーベースの運用方法」の議論が大いに闘われるはずでした。ただ、どうも現在の高市政権にその議論を闘うだけの素養あるブレーン(たいてい組織外部の個人的な諮問係)が皆無のようなのです。自民党による高市人気の演出のため、石破政権下の神輿がスケープゴートの役割を果たす副作用として、彼らについていたブレーンも一緒に一掃されてしまいます。その課題が直撃しているように思えるのです。私がみるに高市政権のブレーンたちは「PB指標は間違っている」ことは理解していますが、日本円の通貨発行を適切にコントロールしていくためには「管理通貨制度における新たな運用方法・基準」を明確に設けなければならない、という事実に無頓着です。彼らはきっと「経済成長こそが財源」とくらいにしか考えていないのだと思います。この考え方は金本位制度時代にPBを基準として運用することが前提であれば成立する理論ではありました。これを「リフレーション理論」と言います。ただ、現状の管理通貨制度においては、通貨そのものの価値(信用)の担保方法が不明瞭なままになってしまうので、それだけでは日本円のハイパーインフレーションリスクを全くマネジメントできないわけなのです。

 

2.     高市政権の圧勝は本当に「責任ある積極財政」に繋がるのか?

私はこの点についてまずまず悲観的です。先述した通り、現在の自民党組織は崩壊しつつあります。これまではその部分を公明党の地盤組織(創価学会)が穴埋めしてくれていましたが、現在の高市政権にはそれがありません。よって高市政権は、高市早苗総裁自身の人気、大阪維新の会の大阪関連地盤、そして主要企業組織に依存せざるを得ません。私は現状の日本経済の状況では「ガソリン暫定税率廃止」「消費税廃止」が適当だと考えています。前者は石破政権時の国会審議に従って昨年末で無事に廃止されましたが、問題は「消費税」です。主要企業組織に支援されている高市政権にこれを廃止する力はないように思います。理由は日本の主要企業の大半がグローバル企業であり海外貿易の売上がかなりの割合を占めるという事実にあります。これらの企業にとっては海外取引の結果生まれる「消費税還付金」は重要な収益なのです。事実、高市政権はこれら主要企業に関わりの少ない「期限付き食料品の消費税減税」を提案しています。正直これは多くの中小事業者(特に一般飲食業者)にとっては、逆に消費税差額の負担を強いられる構図となってしまい経営上の負担を増やしてしまうことになり、とりわけ地方経済の悪化に歯止めをかけるどころか加速する可能性すらあるわけです。

私から言わせれば、このような小手先の「消費税減税」の提案をする前に「日本円のマネタリーベースの運用方法」をしっかり議論するという、基本から始めてもらいたいものです。そうしなければ、結局はPBの呪縛から解放されないまま、いわゆる「財源」の話から増税基調の議論に戻ってしまうか?あるいは無軌道な財政計画をごり押しして「日本円」の信用が毀損して、史上空前の世界恐慌を生起させてしまう恐れがつきまとったままとなってしまいます。

 

3.     いまの日本にとって最も大切な議論は何なのか?

繰り返しているように「日本円のマネタリーベースの運用方法」です。

まず「日本円決済資産総額(日本円マネーストック)」をいかに維持するのか?

次に「日本国民総資産(GNS)」と「日本円の通貨発行総額」のバランスをどう考えるのか?

さらに「日本の国際経常収支」のコントロールと「日本円の国際価格」をどう考えるのか?

正直、国債発行総額などはマクロ的にはどうでも良い話です。上記のような議論の上で、金融庁による市中銀行管理の有り様の改革、税種その他の考え方の改革、政府系金融商品の有り様の改革、そして何よりも国家投資の優先順位の根本的な見直しが図られてこそ、本当に実のある改革を実践できるというものです。付け加えるならば「日本円」は、現行の世界の「管理通貨制度」の根幹を担う究極の基軸通貨です。「日本円」の信用毀損は世界の通貨体制を崩壊させてしまいます。それほどの責任が我々日本国民にあるのだと、その点はしっかりと自覚しておきたいものです。


管理通貨制度下の日本円
通貨価値の保つ方法の原則
日本円の信用確保の本質
日本円の信用確保の手段
 

いつの時代もそうですが、巷の話題に「マクロ視点」が抜けることは仕方ありません。ただ、国家を担う場においては「マクロ視点」は決して忘れてはいけません。というか、最重要の事案です。しかしながら、国家運営が“大衆迎合”を善しとしている以上、なかなかこれら「マクロ視点」を俎上することは難しいかとも思います。

先の石破政権はだからこそ“嫌われ者”を引受けることで、この「マクロ視点」の議論を深めていこうとしていました。これはある意味“嫌われ者”にしかできない所業です。ゆえに、高市政権ではなかなか厳しいのではないかな?とも考えています。やりたくても思うようには出来ないわけです。

最後に今の日本の政治に本当に重要なことについて述べます。それは自民党はじめ各政党がしっかりと日本各地の津々浦々の地盤を再組織化していくことです。今回の解散総選挙を受けて、公明党と立憲民主党の衆議院議員連中が「中道改革連合」なる政党を創り選挙に臨んでいます。ただ、これは両党の地方組織も自民党同様に崩壊の一途をたどっているがゆえの窮余の策に過ぎません。“中道(法華経用語で俯瞰という意味)”と名乗っていることからも、法華経を唯一の経典とする日蓮宗系の創価学会と立正佼成会の指導者層が焦って創らせたことが滲み出ています。実は近年、若年層にかなり政治参画の気運が大きくなってきていますが、この気運を本当の国力に昇華していくためには、現状の政党組織が抱える旧態依然とした組織体制では機能しません。新しい組織体制の構築が不可欠です。当然ながら選挙は各政治組織の体制の善し悪しを表出させてくれます。今回の選挙を通して、正面から正確にその善し悪しを洗い出し、新たな政治組織の体制作りに励む流れが出来てくれれば、日本は2030年代に再び復興の道に進めるのではないか?と期待しています。そのために、私もお役に立てることは地道に頑張りますので、皆さんも一緒に出来ることから頑張っていきましょう!


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2026/1/21ラジオ放送:冒頭で選挙に触れています】

https://www.youtube.com/live/HRSY9Sqw6ag?si=FNVLbSBUlp_7wq5B

※放送の中で「防災庁」設立が既定路線かわからないとの発言がありましたが、「防災庁」は今年末に看板が立ち上がり、次年度に設立予算が組まれ、次次年度から「防災庁」が機能し始めることは決定済のようです。石破元総理による「最速の防災庁立ち上げ」ロードマップ通りです。とはいえ、今年の予算次第のところではありますけれども。

内閣直下の司令塔「防災庁」創設へ、強靱化中期計画では新たな目標値 | 日経クロステック(xTECH


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りょーまくん